低血糖は自分でも自覚でき、患者自身の対処法の習得も比較的簡単ですが、無自覚性低血糖では対処が難しいという問題があります。
無自覚性低血糖とは糖尿病神経障害の自律神経障害に加えて、繰り返す低血糖発作に体が頻繁にさらされることで、自覚しにくくなる発作のことをいいます。
この場合、突然の意識障害で救急搬送となる場合も多く、注意が必要です。
無自覚性血糖の原因には糖尿病歴が長く神経障害が進んでいることでより綿密に血糖コントロールしたいという患者心理が関係しています。
緊急入院を回避するための解決策として病棟看護師ができることは、患者が低血糖症状を認識できるようにすることです。
しばらくの間、低血糖を避けるコントロールを行ったり、セルフモニタリングをすすめ、特徴的な低血糖の症状を意識できるようにしたり、舌がしびれる、眠くなるなど代表的な低血糖症状以外にも自身に特徴的な症状があるかを振り返ることで低血糖状態に気づきやすくしてあげることが大事になります。
しかし、無自覚性低血糖の根底には合併症を引き起こしたくない、きちんとしたコントロールを行いたいという気持ちが本人にあるときは注意が必要です。
そのケースでは血糖値のコントロールを緩やかにして低血糖に気づきやすい体にするという対処法の受け入れに難色を示すことがあります。
また、長年、糖尿病と付き合ってきて様々なことに対応できた自負に裏打ちされ新たなセルフモニタリングの習得が進まないこともあるのです。
長年の習慣や思考を変えることは難しいですが、QOLが下がっていることと医療者が懸念していることをすりあわせ働きかけていくことが解決につながります。